今回は、QAネットワークの構成の一部となる発生防止レベルの作成作業について述べます。
QAネットワークは、その表の縦と横に項目が配置されており、その交点に数値が2段に分けて書かれ、その上段に発生防止レベルの数値、下段に流出防止レベルの数値が記載されるわけですが、その発生防止レベルの数値の設定内容についての説明になります。
(実際には発生防止レベルと流出防止レベルの両方を加味して品質保証レベル(A、B、C、D、E、F)を設定することになります。)
発生防止レベルの数字は一般的には、4段階に分かれており、1が最もレベルが高く、4が最もレベルが低いと評価します。PFMEAの発生度合いの評価に匹敵しますが、PFMEAの5段階、10段階評価に比べると、独立事象評価としてはややラフな評価となります。
各々の段階での評価内容を列挙すると・・・(通常イメージとして)
①発生防止レベル1
(不良は発生しない;下記項目を総合的に判断。(品質保証項目または不具合項目の内容に応じ判断する。))
・設備の自動化度合い、整備状況;ほぼ全自動であり、管理も十分
・工程能力;Cpk≧1.67に匹敵
・標準類整備、遵守状況;整備が行き届き、遵守されている。
・作業の内容、訓練状況;スキル管理が徹底し、訓練も十分されている
・ヒューマンエラー対応;人的エラーに対するFPが十分に施され、機能している。
②発生防止レベル2
(不良は通常では発生しない;下記項目を総合的に判断。(品質保証項目または不具合項目の内容に応じ判断する。))
・設備の自動化度合い、整備状況;半自動、または一部自動であり、管理されている。
・工程能力;Cpk≧1.33に匹敵
・標準類整備、遵守状況;整備が行き届き、管理されている。
・作業の内容、訓練状況;スキル管理を実施し、訓練も行っている。
・ヒューマンエラー対応;人的エラーに対するFPが施されている。
③発生防止レベル3
(不良発生の可能性がある;下記項目を総合的に判断。(品質保証項目または不具合項目の内容に応じ判断する。))
・設備の自動化度合い、整備状況;半自動、または一部自動、管理に一部不安がある。
・工程能力;1.33>Cpk≧1.00に匹敵
・標準類整備、遵守状況;標準類整備、遵守状況に一部不安がある。
・作業の内容、訓練状況;スキル管理、訓練状況に一部不安がある。
・ヒューマンエラー対応;人的エラーに対するFP設定に一部不安がある。
④発生防止レベル4
(不良発生防止が期待できない;下記項目を総合的に判断。(品質保証項目または不具合項目の内容に応じ判断する。))
・設備の自動化度合い、整備状況;手動、または一部自動、管理不十分
・工程能力;Cpk<1.00に匹敵
・標準類整備、遵守状況;整備が不十分、遵守不十分
・作業の内容、訓練状況;スキル管理不十分、訓練不十分
・ヒューマンエラー対応;人的エラーに対するFPが不十分
上記、評価内容は教科書的に設定されたものであり、各製造業の業種や対象製品、対象工程の特徴に合わせ、より具体的な表現に吟味されたものとする方が、適切と考えます。
各社ごとの評価内容の考え方、設定の仕方等も含めたQAネットワークの発生防止レベル設定作業に関する支援、指導が生産技術コンサルティング対象となります。
<参考ブログ>
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