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超音波金属接合

 超音波振動により金属同士の固相接合を行う「超音波金属接合(Ultrasonic metal welding) 」とは、重ねた金属同士を超音波振動によって接合する技術です。同材質の接合の他、銅とアルミなど異種材の接合も可能で、ターミナル端子、丸端子へのCu線接合、線材同士の接合などに利用されています。今回はこの超音波金属接合についてコメントします。


 現在、金属を接合するために多種多様な工法が開発されていますが、一般にこれらの工法は接合の原理から、「融接」「固相接合」および「ろう接」の3つに分類されます。これらを順に解説すると下記になります。


①融接(ゆうせつ):接合界面が液相と液相の接触による溶接(Welding)  被接合金属の接合部を加熱し、溶融させて接合する方法です。代表的なものとして電気・ガス・レーザ溶接があります。


②固相接合(こそうせつごう):接合界面が固相と固相の接触による接合(Solid State Bonding)  被接合金属に機械的圧力を加え、接合界面に局部的な塑性変形を生じさせ、接合する方法です。拡散接合や(今回、取り上げた)超音波金属接合が挙げられます。


③ろう接(ろうせつ):接合界面が液相と固相の接触による接合(Brazing ブレージング)  被接合金属よりも融点の低いロウ材を接合界面に流し、接合する方法です。各種ロウ付けがこれに当たります。


 自動車のEV化にともない、電池、モータ、インバータなどの大きな電流が必要な回路関係の接合や、軽量化に伴うアルミ線の接合も増えてきております。超音波金属接合では、ハンダなどを使わずに金属同士を直接接合するため、高温に達する部品にも適しています。溶接などに比べ熱影響範囲が狭いため、熱に弱いLiイオンバッテリー関連の接合に利用することもできます。


 一般に、金属は表面が酸化物、吸着ガスなどの表面層によって覆われているため、接合界面の原子同士の接近が妨げられ、十分な結合力が得られません。しかし、超音波金属接合では、接合界面で発生する摩擦により、これら表面層が機械的に破壊除去されるため、接合が可能になります。同時に、発生する摩擦熱により塑性流動が促進され、接合界面の金属の原子同士が相互に引力を及ぼす距離まで接近し、接合界面全体の原子が秩序ある配列となるよう接合することとなります。融解には至らずに接合するため、「固相接合」に分類されます。


●超音波金属接合機の基本構成

 超音波金属接合機は、主に発振器と振動部ユニット、プレス装置と工具ホーン(超音波ホーン)で構成されます。工具ホーン(超音波ホーン)は、振動部ユニットで発生した振動を増幅し、ワークに伝達することで接合を行います。また、プレス装置を使用せず発振器と振動部ユニットと工具ホーンの組合せの機器もあります。


●超音波金属接合のポイント

 超音波金属接合のポイントとしては、「受け台(アンビル)」の上で重ね合わせた同種、もしくは異種の金属に対して、垂直方向の加圧力を与えながら、接合面に平行な超音波振動を加えることです。超音波振動によって互いに擦れ合うことで、酸化皮膜や付着物が取り除かれ、純粋な金属面が露出することにより、固相状態のまま接合を行うことができます。



●超音波金属接合のメリットとしては・・

・異種金属の接合が容易

・融点以下の温度領域で接合

・非鉄金属の接合に向いている

・箔等の薄い接合が可能

・経年変化(抵抗値の増加)に強い

・環境性能が良く作業が安全

・リサイクル性が良い

等が、あげられます。

             (記事の大半は、ネット情報をまとめたものです。)



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