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フォトニック結晶レーザー(PCSEL)について


 最近注目されているフォトニック結晶レーザー(PCSEL;通称ピクセル)は、高出力・高ビーム品質を両立可能な次世代半導体レーザーであり、従来レーザーの課題を克服する技術であると言われています。


 従来の半導体レーザーは、小型・高効率という強みを持つ一方で、出射ビームが大きく広がり、パワーを増大すると、その形状が著しく乱れ、輝度が大型レーザーの十分の一以下にとどまるという欠点がありましたが、PCSELは、その壁を打ち破り、小型軽量でありながら、大型レーザー並みの輝度を持つことができるとのことです。


 PCSELは、2次元フォトニック結晶と呼ばれる光のナノ構造を組み込み、半導体レーザーとしては、従来とは別物のように高性能化させたものです。フォトニック結晶は、空気と半導体など屈折率の大きく異なる材料で構成され、正方格子や三角格子の周期構造を持ちます。この構造により、基本波だけでなく高次のブロッホ波(※1)も結合し、安定した2次元定在波状態(共振モード)を形成します。特にΓ点(※2)で動作させることで、レーザー光をフォトニック結晶面に垂直方向に効率よく出射できます。


 従来の半導体レーザーやDFBレーザー(分布帰還型レーザー)は、出力を増やすとビーム品質が劣化する課題がありました。PCSELは、大面積でも単一モードで高輝度動作が可能で、ビームパターンや出射方向の制御もオンチップで実現できます。これにより、CO2レーザーやファイバーレーザーなどの大型レーザーに匹敵する性能を小型・低コストで提供可能となります。


 PCSELは、以下の分野での利用が注目されています。

①スマートモビリティ:LiDARセンサーなど高精度距離計測

スマート製造:金属や半導体の光加工、レーザー加工のデジタル化

       (生産技術として注目分野)

③光通信・光記録:高効率・高輝度光源としての利用

④照明・センシング:ビーム制御が可能な高輝度光源としての応用。


 PCSELは、従来レーザーの限界を超えた高出力・高輝度・高機能性レーザーとして、産業界や研究分野での革新的な応用が期待される技術であり、生産技術関連分野においても近い将来、身近な技術になるものと思われます。


(※1)ブロッホ波;ブロッホの定理によって表された結晶の周期的ポテンシャル中で電子の波動関数が従う特定の形式の波のこと。


(※2Γ点;結晶の波数空間(k空間)における原点で、電子バンド構造の解析で重要な対称点のこと。




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