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マグネットワイヤ

更新日:2023年12月27日

 巻線(マグネットワイヤ;Magnet Wire)とは、トランスやコイルなどに巻かれている電線の総称です。マグネットワイヤの表面は電気を通さないように絶縁されています。

巻線(マグネットワイヤ)は様々な種類があり、エナメル線、横巻線、油性エナメル線などがあります。


 この中で最も多く使われているのがエナメル線です。また、エナメル線は絶縁性の塗料(樹脂)の違いにより様々な種類があり、各種類により許容最高温度が異なります。一般的に許容最高温度が高いほど高価で使い勝手が悪くなります(UEWは直接はんだ付けできるが、PEWになるとはんだ付けができなくなる等)。


 そのため、巻線(マグネットワイヤ)の用途に合わせて使用するエナメル線を変えています。エナメル線の中で最も多く使われるのがポリウレタン銅線(UEW)です。ポリウレタン銅線(UEW)は直接はんだ付けができ、耐熱クラスはE種(最高使用温度120℃)となっています。ポリエステル銅線(PEW)は直接はんだ付けはできませんが、ヒュージング等が可能であり、耐熱温度は155℃となっています。


 近年、EV用のモータ等で、さらに耐熱温度が必要となる巻線が要求されており、ポリエステルイミド銅線(EIW;耐熱温度180℃)、ポリアミドイミド銅線(AIW)、ポリイミド銅線(PIW;耐熱温度240℃)等がクローズアップされてきています。


 一方、エナメル線は「塗料(樹脂)の違い」だけでなく「絶縁皮膜の厚さの違い」によっても種類が分かれています。


 絶縁皮膜の厚さはJIS規格で規定されており、0種から3種まであります。0種が最も絶縁皮膜が厚くなっており、1種→2種→3種になるにつれて絶縁皮膜が薄くなっており、以下のようになっています。一般的には2種の電線を使用することが多いようです。

・0種:絶縁皮膜が最も厚い(0.016~0.049)

・1種:絶縁皮膜が厚い(0.009~0.034)

・2種:絶縁皮膜が薄い(0.003~0.017)

・3種:絶縁皮膜が最も薄い(0.002~0.008)


 例えば、ポリウレタン銅線(UEW)の絶縁皮膜の厚さが2種の場合、2UEWという呼び方になります。


(補足)

・絶縁皮膜が厚いほど耐圧等の絶縁性能が良くなりますが、巻数を多くすることができないというデメリットがあります。

・トランスを小型化すると、温度上昇が大きくなります。このような場合、許容最高温度が155℃のPEWのエナメル線を使うことで対策を行うケースがあります。





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