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銅の加工性

更新日:3月1日

 近年、EV化の波が押し寄せてきており、その関係で使用される素材として銅の需要が急激に上昇している傾向があります。今回は、この銅の加工性(Copper Processability)について簡単にコメントします。


 銅には次のような基本的特徴があります。 

  ・柔らかく加工がしやすい

  ・熱伝導率が高く熱を通しやすい

  ・誘電性が高く電気を通しやすい

  ・加工後も強度が落ちにくい

  ・表面の保護皮膜により耐食性が高い

 

 そのため、銅の製品はいろいろな場所で使用されています。特に柔らかいという特徴は、切削や曲げ加工をすることが容易になるため、製品を製作する上で大きなメリットがあります。 一方で、銅の加工は難しいという意見も多いのが実状です。これも銅がとても柔らかいという性質が大きく関係していて、加工する際に変形しやすいために注意が必要となります。


 つまり、銅の加工は取り組みやすい一方で、性質をしっかりと理解した上で行わなければ製品不良を起こしやすい金属でもあるわけです。銅は柔らかい金属であるため、加工が非常にしやすいです。しかし、銅の性質を理解していないと、質の高い製品を作ることはできません。


 銅の加工性について、切削加工、切断加工 、曲げ加工、穴あけ加工、溶接の順にコメントします。


●切削加工

 銅は金属の中でも柔らかい部類なので、切削は比較的しやすいです。しかし、柔らかすぎるために粘り気もあり、逆に切削が難しいとも言われています。

そのため、銅の切削は次の2点がポイントになります。 

 ・切削速度を速くする

 ・すくい角が大きい刃を使用する 

柔らかい金属であれば、速度を速くして切削しても構いません。速度を速くした方が切削抵抗も低くなるので、工具への負担も軽くなります。また、工具はシャープなものを使用すると、削りかすを上手に排出できるので工具への溶着も防ぐことができます。


 注)一方、微量に硫黄添加された銅合金を使用することにより、切削性を向上させることが可能であると思われます。(耐摩耗性も向上)


切断加工 

 柔らかい銅は、切断面が伸びてしまうために、断面をきれいにカットするのが技術的に難しいです。レーザーでも切断はできますが、銅は光沢が強いので反射してしまう恐れもあります。 

そのため、鋭い刃で切断をする、レーザーなら反射防止剤を塗るなどの対策が必要です。銅の切断では、断面が伸びてしまうので、適切な刃の選択やバリ取りの処理が必要です。バリが必ず発生すると考えて設計をすることが重要です。


曲げ加工 

 曲げる方法は、求める形状に合わせてV曲げやハット曲げなどの選択をする必要があります。しかし、どの方法においても、銅が柔らかいので変形しすぎる可能性が高く、曲げ加工時は銅をクランプで固定しますが、このクランプの力が少し強いと銅自体がへこんでしまう可能性が高いです。 その上に次の不良を起こす場合もあります。 

〈曲げ加工の注意点〉

 ・クラックや割れ

 ・寸法不良 

単純に曲げても寸法にズレが生じることも多いです。寸法が合わないと製品の質が大きく下がるので、部材の伸縮度合いを把握することが大切です。


穴あけ加工 

 銅は柔らかいため、ドリルで簡単に穴を開けることができます。しかし、部材が変形しやすいので注意して行う必要があります。

切削加工と同様に、ドリルの加工速度は速くすることが重要です。速度が遅いと工具と部材の温度が高まりやすいので、どちらも傷んでしまう可能性が高まります。 

穴あけ加工時の熱は、クーラントを使用すれば下げることができます。ただし、水性のクーラントだと変色する恐れもあるので、油性のものを使用することをおすすめします。


溶接 

 銅は軟化温度が低く、溶接がとても難しいです。その上、熱が伝わりやすい金属なので、溶接中の熱が逃げてしまい、作業効率がグンと下がってしまいます。銅は熱伝導率が高いために溶接時の熱が逃げてしまい、融合不良を起こす恐れもあります。

そのため、銅の溶接では次のポイントに注意が必要です。 

 ・溶接部材に十分な余熱をしておく

 ・熱膨張の対策のため拘束しすぎない 

また、銅合金の種類によっては、ブローホールが起きやすいものもあります。銅合金の特性をしっかりと把握して作業を行うことが求められます。





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