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黒体炉とは

 放射温度計を使用する際、計測温度の校正のために、黒体炉Blackbody furnaceという装置を使用する場合があります。今回はその黒体炉について若干コメントします。


 もともと黒体(Blackbody)とは外部から入射する電磁放射を、あらゆる波長に渡って完全に吸収する物体のことで、完全な意味での黒体(理想黒体)は現実には存在しません。黒体からの電磁放射は黒体放射と言い、その放射量はプランク関数(※)で表せられます。


 黒体炉は黒体を近似的に再現した装置で、赤外線を使った装置の基準光源として広く使用されています。


 黒体炉は、全ての波長の光を吸収する理想的な黒体を模した装置であり、主に赤外線を使用した測定機器の校正や検査に利用されます。

 黒体炉の内部は、外部環境の影響を受けずに、安定した温度を保つことができるということで、放射温度計や赤外線カメラの基準光源として使用されています。


黒体炉の使い方

 ①測定したい対象物(赤外線センサーや放射温度計など)を黒体炉の視野内に配置します。対象物の放射率を考慮し、必要に応じて設定を行います。


 ②黒体炉からの放射量を測定し、対象物の温度を校正します。赤外線測定器の応答性を確認するために、黒体炉の放射特性と比較します。


 ③測定結果を分析し、必要に応じてデータを記録します。この黒体炉を使用することで、赤外線測定器の精度を向上させることができます。



(※)プランク関数は、1900年にドイツの物理学者マックス・プランクによって導入されたものです。プランクの法則は、黒体(理想的な放射体)が特定の温度で放射する電磁波の強度を、周波数または波長の関数として表現しています。



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