先日(6月19日)、第36回ものづくりワールド(東京)(6月19日、20日、21日 東京ビッグサイトにて開催)に参加したので、その状況についてコメントします。
生産技術コンサルタントとして、参考となりそうなものについて数例をピックアップして列挙します。(順不同)
①拡散接合の利用(理想的な水管を持つ金型部品)
拡散接合(部材を密着させ,母材の融点以下の温度条件で,塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に金属結合を実現して接合する方法)を利用して、金属材料を溶かさずに接合する技術として紹介されていた。
従来は、3Dプリンタでしか製作できなかった内部に自由な形状を持つ冷却効果の高い金属部品の提供。
接合部強度は母材の強度の90%以上、SKH51、SKD61、SUS420J2など射出成型向け金型やダイカスト向け金型で使用される幅広い種類の材質の接合が可能。
②3Dプリンターとロストワックス技術による鋳造品の金型レス製法
金型レスで1個から鋳造品が製作できるということで、
(1)3Dプリンターでモデルを成形する。(樹脂素材)
(2)ワックスツリーにセラミック液及び粉末を4~6層程度コーティングする。
(3)高温で3Dプリントモデルを完全に焼失させ、セラミック鋳型を焼成する。
(4)溶融させた金属を鋳型に注湯する。
という製造工程にて製作するもの。
その特徴としては、通常生産に必要な金型製作不要、難切削品を1個から鋳造可能 ということです。
③超音波バリ取り洗浄
超音波バリ取りの原理;液体中の気体の含有量を一定値以下にすると超音波で発生するキャビティが球状星雲型になり、それが発生する際、外側に正の衝撃波が発生し、消滅するときに内側に負の衝撃波が発生する。これを1秒間に2万回以上繰り返すことになる。この正と負の衝撃波によって、疲労破壊を起こしバリを除去するという原理。
洗浄と同時に、精密バリ取りが可能となるということで自動車部品(電気自動車新規部品、PPS、PPA、PBT等)など多数の実績がある。洗浄液は水で、10℃、20KHzで効果があるとのこと。
もともとは、超音波洗浄技術から発しているが、その原理を極め、キャビテーション強化技術から、精密加工には避けて通れない微小バリ取り技術に発展させたもの。
④プレスレスフォーミング工法
板金加工(へら加工)、積層金型技術、ダイレスNCフォーミング技術を融合させた革新的な工法。下型を積層金型技術で製作したものの上に加工品(薄板)をセットし、上部をパンチ(先端球状)でへら加工のようになぞっていく形で加工。加工品の材質や板厚、R形状、仕上げ成形角度などに制約はあるものの、型費が大幅に削減できることが最大のメリット。試作品の製作、小ロット量産品などには最適な工法。納期的にも良好な方法。
⑤精密石材製品
天然石を素材としたマシンベース等。石材なので、その寸法安定性(温度変形)はいうまでもなく、振動減衰、除振性能も優れている。加工精度が要求される工程への活用対象となる可能性あり。
⑥コネクタ自動勘合ソリューション
協働ロボットにコネクタ自動勘合用グリッパを実装することにより、コネクタ勘合作業の自動化を狙ったもの。このグリッパにより、勘合時の傾きや位置ずれを吸収させ、コネクタ先端の位置認識を可能にするもの。また、勘合した後のコネクタ勘合保証も行うことができるというもの。(コネクタ勘合保証;挿入時の抗力確認、勘合後の抜け確認も実施)
⑦小型自動倉庫(部品管理自動化ソリューション)
見た目では何かの機械装置かと思うほど、コンパクトな自動倉庫であり、収納効率もよさそう。比較的小物部品が対象となるとは思うが、使いようによっては、効率的な在庫管理ができそうなイメージを持った。
⑧その他
ロストワックス、CFRP加工、精密巻線加工、(触覚センサ付き)ロボットハンド、等の展示が目を引いていた。
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