生産技術業務の中で取り扱う金属について、その加工性に関わる知識が必要となる場合が時々あります。そこで、今回は他の金属に比べ、比較的新しい金属と言われているチタンを取り上げて、「チタンの加工性(titanium processability)」についてコメントします。
加工性を検証する場合は、その基本となる物理的特性や機械的特性を知ることが重要ですが、その主な特徴を述べると下記のようになります。
①比重が鉄やステンレス鋼の60%ほどであり、銅の約半分と比較的軽い。
②線膨張係数がステンレス鋼の約半分、アルミニウム合金の1/3と小さく、温度変化に対する寸法や形状変化が小さい。
③熱伝導率がステンレス鋼の約半分で、アルミニウム合金やマグネシウム合金に比べて極端に小さく、密度×比熱で表される体積比熱が低い。つまり昇温しやすく、熱が伝わりにくい。
④電気伝導率が低く、銅に比べると30倍ほど高い電気抵抗率を示す。つまり他の金属に比べ、ステンレス鋼並みに電気が伝わりにくい。
⑤ヤング率が、鉄鋼材料の約半分と小さく、比較的にたわみやすい。
以上の特性を踏まえ、チタンの主な加工方法についてコメントします。(実際には様々なチタン合金が開発されており、下記は、その基礎的な内容のみであるととらえていただきたい。)
・切削加工
チタン材料は耐食性、耐熱性、高強度特性を示すがゆえに、ステンレスと同様、難削材に分類されます。(刃先発熱性大、切削抵抗変動大、変形しやすさによるビビり発生等→工具寿命に影響)
しかし、切削条件の適正な選定・管理により、相応の切削加工は十分可能と思われます。
・接合加工
接合強度、耐熱性、耐久性、気密性の点から溶融溶接(アーク溶接、高エネルギー密度ビーム溶接、抵抗溶接)、固相接合(圧接、拡散接合)が最も信頼性が高く、次いでろう接(ろう付け、はんだ付け)となります。
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