転造加工(てんぞうかこう、rolling)とは、強い力を加えて素材を変形させる塑性加工の一つで、棒状の加工素材を回転させながら、転造ダイスと呼ばれる工具に押し当てることにより成形する方法です。転造加工で施す形状の一つには、ローレットと呼ばれる金属表面に細かい凹凸状の形状を施す技法もあります。
転造加工は、おねじの加工用に開発された加工方法であり、転造加工で、現在でも最も一般的に利用されているのはおねじの加工です。他には、スプライン、セレーション、ウォーム等のような回転対称体である機械要素部品の加工に用いられることもあります。しかし、鋳鉄や硬度の高い素材は、伸び率が低かったり、硬度が高いため転造には向きません。
転造ダイスは、外周がねじの形をした複数の円筒形状からなり、通常2個または3個を1セットとして用います。おねじの異なる加工品に対してそれぞれ専用のダイスを用意する必要がありますが、ダイスの形状によりメートルねじ(M)や台形ねじ(TM、TW)、テーパネジ(PT,PS)のほか、特殊成形ねじ等、多種多様な製品を製作することも可能です。
転造加工の加工手順としては、素材（棒材）を転造ダイスにより挟み込み、素材を回転させながら、素材の中心方向へダイスに圧力を加え、素材の降伏点を超えた圧力をかけることにより、素材は塑性され永久的に変形し、形状を造ります。このようにして成形されたねじを転造ねじといいます。加工後の素材の表面形状はダイスの表面形状に依存し、素材はダイスとは逆回転しながら加工部分が移動していくため、転造は逐次成形加工に分類されます。
転造加工は通常は冷間（常温）で加工を行います。冷間成形中、素材の組織は移動するだけで切断されないため、切屑を出しません。また、転造ねじは切削ねじに比べて強度があり、加工能率も高く、量産品の製造に適してます。
