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プラズマ表面処理について

更新日:3月7日

 プラズマ表面処理(Plasma Treatment)は、様々な製造業において、表面処理方法の一つとして日常的に耳にする処理方法です。生産技術者が扱う工程として、その基本的な内容について理解しておく必要があるため、今回、取り上げることにしました。

(以下は、大半において、ネット検索にて情報入手し、整理したものです。)


 プラズマ(Plasma)は、非常にシンプルな物理現象です。物質にエネルギーを与えると、その状態が固体から液体へ、液体から気体へと変化します。気体にさらにエネルギーを与えると、気体がイオン化され、物質の第4の状態である高エネルギープラズマ状態に移行します。

 1928年、アーヴィング・ラングミュアが初めてプラズマを発見しました。実際にはプラズマは珍しいものではなく、極めてありふれたものであり、宇宙の中で目に見える物質の99%以上は、プラズマ状態にあるといわれています。地球上でも、例えば稲妻や北極・南極のオーロラとして、自然の中で目にすることができます。日食時には、太陽のまわりの明るい輪(コロナ)としてプラズマを観察することができます。


 プラズマ処理とは、プラズマを用いて材料表面の洗浄や改質、コーティングなどの処理をすることです。機械装置の軸受など、回転部品に用いる鋼材(鉄鋼やステンレスなど)には、耐摩耗性が要求されます。しかし、通常の鋼材では表面硬度が十分ではないので、炭素Cや窒素Nを取り込むことで表面を硬化させる手法が用いられています。


 実際のプラズマ処理では、高圧電源を用いて、電極と呼ばれるロッドから出るプラズマビームで材料表面を叩きます。材料の表面はビームからの高いエネルギーで励起され、ラジカルになり官能状態を保ち続けます。これが、高い密着力を生み出す理由です。その上、表面に異物油膜が存在したら先ずその油膜や汚れを洗浄してくれます。素材に応じたガスエネルギーを投入することで表面分子に複数種の官能基を付与することができます。これが、分子から密着向上を実現する画期的で環境にやさしい技術となるゆえんです。


 当生産技術コンサルタントの過去の経験においても、ポッティング剤注入の前処理として、被注入ワークの表面にプラスマを照射し、ワーク表面の洗浄、改質を目的とした処理を行ったという記憶があります。(約20年前;プラズマ処理工程としては、まだまだ初期のころです。)


 プラズマ そのものは、エネルギー準位が高く、不安定な物質を指す言葉です。

(プラズマ;自由に運動する正負の荷電粒子(正イオンと電子)が混在して,全体として電気的中性となっている物質の状態。気体放電によって気体分子が高度に電離した状態や,星の内部・星間空間にある物質の状態のほか,半導体内の電子と正孔の集団もプラズマと考えられる。)

プラスチックや金属などの固体材料にプラズマが接触すると、そのエネルギーが表面に作用し、表面エネルギーなどの重要な特性を変化させます。


 現在、製造業界では、この原理を利用して材料特性を選択的に改質しています。この改質処理を行うことにより、ターゲットとする表面の接着性・濡れ性を高い精度で調整することができます。それにより、全く新しい材料(ポテンシャルフリー材料も含む)、環境に優しい溶剤不使用(揮発性有機化合物不使用)塗料や接着剤を、工業用として使用することができます。今日では、化学的表面処理プロセスの多くが、プラズマ処理に入れ替えることができているようです。






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