最近参加した展示会で、カップリングについての紹介が目についたので、今回コメントすることにしました。
カップリング(coupling)は機械の軸と軸を連結し、2軸の取付誤差(ミスアライメント)などを吸収して動力を駆動側から従動側へ正確に伝える機械要素部品です。
機械業界においてカップリングは、「軸と軸を結合する部品」と解釈され、一般的には「カップリング」や「軸継手」、「ジョイント」と呼ばれています。
カップリングの役割には主に以下のようなものがあります。
1.駆動側(回す側)から従動側(回される側)に動力を伝達する。
2.駆動側(回す側)と従動側(回される側)の軸の取付誤差を吸収する。
3.駆動側(回す側)の振動を吸収して周囲の製品を守る。
4.駆動側(回す側)のモーターなどの熱を従動側(回される側)に伝えない。
順に、説明すると・・
1、動力を伝達する
カップリングを使う一番の理由は、駆動軸と従動軸をつなぐことです。
カップリングを使用しないで、軸が一体化した機械を作ることはコストや精度の面で困難な上、運搬や機械への組み付けが大変なため、余計な工数がかかってしまいます。
また、一体化の場合、駆動側か従動側どちらかが壊れても全交換しなくてはなりません。
2、取付誤差(ミスアライメント)を吸収する
駆動軸と従動軸を高精度に合わせようとするとかなりの時間を要してしまいます。
軸と軸がズレていると周辺の製品に余分な力が加わり、その力が回転に従って繰返し作用するため振動や騒音の原因になります。
また、各部品は同じ部品であっても加工精度などの誤差があり、ひとつひとつ寸法が違うため、それらを一回一回精度良く組み立てるのは大変困難です。
そこで、そのような取付誤差を吸収するためにカップリングを使用します。
カップリングは軸と軸のズレ(偏心・偏角、軸方向変位など)があっても無理なく正確に動力を伝達する役割を持っています。
3、振動を吸収して周囲の製品を守る
機械を使用する時、周囲の部品に振動や、衝撃が加わる場合があります。
例えば、モーターなどの駆動側の振動が、ボールネジなどに伝わってしまうと、規定の位置からズレてしまい機械の性能を活かすことが出来ません。
また、外部からの衝撃があった場合、カップリングがなかったら直接モータへ衝撃が伝わり、壊れてしまう恐れがあります。
それを解決するのがカップリングです。 振動を吸収して精度良く従動側を動かしたり、衝撃を吸収することで高価なモータなどが壊れてしまうのを防ぎます。
4、モーターなどの熱を従動側に伝えない
モータは使用していると、かなりの熱を持ちます。
それが従動側に伝わってしまうと、ボールねじなどは膨張して長さが変わってしまいます。
すると精度良く位置決めが出来ず、本来の機械精度を活かすことが出来ません。
しかしカップリングを使用することにより、モータなどの熱が伝わって部品が熱で変形・移動してしまうというようなことを防ぐことが可能です。
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