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固相抵抗スポット溶接

更新日:2023年11月8日

 以前、ご紹介した組付け加工技術の一つに溶接加工技術(抵抗溶接)がありますが、これに対し、最新技術として固相抵抗スポット溶接(Cold Spot Joining)が 近年、注目を集めています。


 固相抵抗スポット溶接は、溶接のメカニズムとしては基本的に従来の抵抗スポット溶接と同じですが、従来の抵抗スポット溶接では、溶接母材の組み合わせによっては欠点ともなる溶接部(ナゲット部)の接合状態の脆弱さを改善するもので、その分、メリットの多い接合方式と言えるものです。


 従来の抵抗スポット溶接では、材料を溶融させるため、炭素量の多い鋼では割れが発生し、 接合が困難という状況でした。また、高強度鋼板の接合の際には、水素割れの問題も発生していました。 固相抵抗スポット溶接では、固体で接合するため、このような 問題は生じません。また、線形摩擦接合等と異なり、薄板の重ね接合にも適用可能であるというメリットもあるものです。


【固相抵抗スポット溶接の原理・溶接構造】

 もともと抵抗スポット溶接は、ワーク・ワーク間の接触抵抗と溶接電流により発生するジュール熱 Q(Q=RI²t、R;抵抗、I;電流、t;溶接時間)による発熱でスポット的に溶接するものですが、その時発生する熱は集中的にワーク・ワーク間に溶接後にナゲットと呼ばれる溶融部をつくり、これが上記のような欠点(割れ等)をもたらすものでした。そこで、このワーク・ワーク間の接触抵抗Rを極力減らし固相接合を成立させることを目的とし、あらかじめワーク・ワーク間を高圧で抑えた状態で(接触抵抗Rを減らした状態で)接合させようとするものです。溶接を成立させる場合、この高圧で抑える構造は通常の電極材質では電極の耐久性に問題が生ずるため、並列に高圧抑え機構を追加することでこの問題を回避させたものが、固相抵抗スポット溶接の基本構造となっているものと思われます。


【固相抵抗スポット溶接の特徴】

 ①固相抵抗スポット溶接は、素材の特性を損なうことなく、低温域で安定した高品質接合ができる。超ハイテン材やアルミ合金などの難接合素材の接合を可能にし、自動車をはじめとする輸送機器の軽量化への貢献が期待される。


 ②1.5GPa級ハイテン材の安定接合により、車体を最大33%軽量化することで航続距離の延長に寄与する。軟質なアルミ合金を溶融せずに低温域接合するため、接合部分の強度低下やチリ(スパッタ)の発生を抑制するとともに、後工程での除去作業が不要になる。


 ③抵抗スポット溶接と比較すると、消費電力を最大50%抑制できる。炭素を多く含む鋼の適用拡大により、大幅なCO2排出削減にも貢献する。低入熱で接合するため、電極などの消耗部品を長寿命化し、産業廃棄物の削減やコストダウン、環境負荷低減にもつながる。

                    (一部、ネット情報を引用しています。) 



(参考ブログ)




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