製造業において、様々な加工工程や検査工程がある中、自動化が難しい工程として、外観検査工程があります。自動化が困難な理由としては、外観検査項目は定量的な規格値を決めにくく(製品図面に記載できないため)、良否判定基準が決めれないということがあります。以前から外観検査工程は、多くの検査項目に対し、人の目で限度見本等を拠り所とした検査を実施してきました。しかし、近年、画像処理技術の進歩とともにかなりの対象項目を精度よく判定できるようになってはきましたが、(限度見本サンプル製作が困難でもあり)明確な閾値を設定することが難しく、結局、最後は人の目に頼らざるを得ないという状況も散見されます。そこで登場したのが、AIを活用した外観検査(AI-Visual-Inspection)です。
ここでは、AI外観検査におけるデメリットとメリットについて、簡単にコメントします。
【AI外観検査のデメリット】
①定性的な判断ができない
AI外観検査は、画像データをAIに取り込み、判断基準を学習(ディープラーニング)させるシステムです。そのため、画像でOK/NGの判定ができないものは判定不可となります。
人の目でも判断基準が異なる条件下では、AIも正しく判断をすることが難しくなります。
②学習させた条件以外の検出ができない
ディープラーニングは機械学習の一種であることから、キズや異物といった不具合を自動的に発見するには学習データが不可欠となります。
データにない基準は判断できないため、すぐに導入できるわけではなく、継続して学習させることが必要となります。
【AI外観検査のメリット】
①目視で見逃す可能性のある異物の検出ができる
一旦、学習させた条件下であれば、目視で見逃してしまうような小さな傷などもすぐに検知することが可能となります。
目視よりも検査スピードが安定するため、検査作業の効率化にもつながります。
②検査のルール設定が複雑化しない
外観検査は、限度見本などを用いながら細かくルールが設定されていることがほとんどです。しかし、AI外観検査は、画像データを学習させて検査条件を蓄積するため、細かなルール設定は必要ありません。AI外観検査を導入して検査条件を学習させることで、これまで属人化していた判断が定量化できることもあります。
AIには苦手なことはあるものの、「定量化された判定基準を一定のスピードで正しく判断できる」ことが最大のメリットとなります。
このメリットをうまく活用し、外観検査を自動化するには、これまで目視で行っていた定性的な判断を綿密に定量化し、AIに学習させる段階で綿密に判断基準を調整することで、企業が求める品質を担保したまま自動化することが可能となります。
以上のAI外観検査のデメリット、メリットをまとめると、AI外観検査は、判定基準の細かな定量化と綿密な閾値調整が必要不可欠であり、これらを行うことにより、オーダーメイドのAI構築をすることで検査課題を大幅に改善することが可能になるといえます。
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