生産技術の重要な業務の一つとして試作検討(Trial Production Study)があります。特に新製品が計画されている場合は、生産技術として必ず実施すべき業務です。
企業規模や会社組織に応じて、試作から量産まで一貫して(つまり、同一の生技担当が)対応する場合もあれば、大きな企業の場合は、試作部門にも生産技術があり、(つまり、別の生技担当が)量産対応部門の生産技術という立場で関与する形をとる場合もありますので、広く、試作段階での(量産対応部門の)生産技術が実施すべき内容としてとらえての記述になります。
上記の中でも、大企業で組織が分かれている場合、量産対応部門の生産技術の試作検討は生産技術部門のフロントローディング活動の一つとして、非常に重要な業務に位置づけされており、試作検討は以下のような点でその効果を発揮します。
①量産設備仕様・加工条件の基本情報として試作情報が使える。
新製品等を流動させるためのラインを新設する場合、量産設備仕様(加工上必要な出力仕様等)作成 や 設備導入後に加工条件を設定する必要がありますが、参考とする従来ラインがない場合は、その設定に時間を要することになります。この場合、試作情報が非常に有効な情報となります。(もちろん、実際にはそのまま踏襲するわけではなく、詳細の検証、検討を加えることになります。)
②試作で起こる失敗、不具合は必ず量産でも起こりうる。
単純な内容(軽微なポカ)のものでない限り、試作で起こる失敗、不具合は必ず量産でも起こりうると考えるべきです。(特に品質関連の不具合)このような試作情報を有効に活用することにより、量産に持ち込む前に事前に手を打つことが可能となります。先のことと考えず、原因、要因を明確化して、設備仕様などに織り込むことがロスを最小限にすることに役立つことになります。
③試作段階で手を打つ活動に参加することも、重要である。
量産化工程設計のプロとして、試作時の課題解決活動に参加して、試作段階での品質・コスト面の不具合に対し解決策を提案・提言し、事前改善活動を行うことも有効です。試作(製品設計)及び 量産生産技術両者が ウィンウィンの関係になる様にしていくことが重要となります。
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