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IATF16949について

 今回は、IATF 16949 について、簡単にコメントします。(当生産技術コンサルタントの過去の経歴上最も得意とする分野である自動車部品製造の根幹となるものです。)

言うまでもなく、IATF 16949は自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格です。世界の多くの自動車メーカーが、自動車部品のグローバルな調達基準として採用しているものです。


【IATF 16949の効果

 ・欠陥の予防やバラツキ・ムダの低減による高品質な製品の提供

 ・法令順守(コンプライアンス)の推進

 ・KPI(キーパフォーマンス指標)の管理

 ・業務効率の改善や組織体制の強化

 ・仕事の見える化による業務継承の円滑化

 ・継続的な改善による企業価値の向上

 ・品質保証による社会的信頼や顧客満足の向上

 ・海外企業を含む取引要件の達成

 ・企業競争力の強化


 IATF16949が規定する設計・開発・製造の品質管理において中心となる手法を「コアツール」といいます。コアツールはOEMやサプライヤーにとって、自動車メーカーとの取引を進める際の最優先事項といっても過言ではありません。IATF16949の中核を成すコアツールとして挙げられるのが、PPAP(生産部品承認プロセス)、APQP(先行製品品質計画)、FMEA(故障モード影響解析)、MSA(測定システム解析)、SPC(統計的工程管理)の5つです。


1. PPAP(生産部品承認プロセス)

 「PPAP(Production Part Approval Process)」は、部材の仕様や生産工程に関して顧客の承認を得るための手順を指します。基本的にサプライヤーは顧客の承認を得た上で製造に入る必要があり、また工程や原材料などを変更する場合も承認が必要です。IATF16949では、こうした承認プロセスに求められる18個の作成書類が規定されており、必要レベルに応じた文書を提出することで顧客との契約が成立します。この一連の仕組みがPPAPであり、5つのなかでも特に重要度の高い手法です。


2. APQP(先行製品品質計画)

 「APQP(Advanced Product Quality Planning and Control Plan)は、自動車部品における新規開発プロジェクトの運営管理に関わる要領を規定したものです。部品の生産は「プロジェクト計画の立案・策定」→「製品の設計」→「工程の設計」→「製品と工程の妥当性確認」→「量産」の5段階で進み、各段階において必要な人材や技術、知見が異なります。IATF16949では、各段階において必要な入力・出力事項が定められており、APQPの推進によってプロジェクト全体の効率化が期待できます。

(当生産技術コンサルにおいては、この中の、工程の設計、製品と工程の妥当性確認、量産についての支援を行います。)


3. FMEA(故障モード影響解析)

 「FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)」は、設計や製造における潜在的なリスクを予測し、危険要因や不確実性の排除を目的とするコアツールです。FMEAには「DFMEA」と「PFMEA」という2つの手法があり、前者は製品の設計におけるリスク、後者は生産工程や物流プロセスにおけるリスクを特定し、解消することを目的とします。また、IATF16949の義務的要求事項として規定されており、さらにAPQPにおける重要要素でもある点がFMEAの特徴です。

(当生産技術コンサルにおいては、「PFMEA」関連の支援を行います。)


4. MSA(測定システム解析)

 「MSA(Measurement System Analysis)」は、測定器や測定者による誤差や偏りを定量的に評価する方法を規定したものです。IATF16949では、測定したデータの誤差を解析すべく、統計的調査の実施が要求事項として定められています。MSAは工程能力と工程性能の評価、または合否判定や誤差評価などに必須のコアツールです。測定データの信頼性を高めるために欠かせない手法ですが、5つのコアツールのなかでも特に難解であり、用語や手法について正しく理解しなくてはなりません。

(当生産技術コンサルにおいては、ゲージR&Rで代表される「MSA」関連の支援を行います。)


5. SPC(統計的工程管理)

 「SPC(Statistical Process Control)」は、製造工程における品質の変動を、統計的手法を用いて管理するコアツールです。製造分野では同様の工程で同じ製品を生産した場合でも、品質に差が生じるケースが少なくありません。顧客からの信頼を獲得するためには製品の品質を一定に保つ必要があり、過去のデータから規格を外れないようコントロールするための手法が求められます。このような品質の誤差や不均等を最小化すべく、製造工程の管理と改善を推進する手法として求められるのがSPCです。

(当生産技術コンサルにおいては、統計的手法を用いた「SPC」全体の支援を行います。)






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