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製造コスト見積りの進め方

更新日:4月8日

 生産技術が行う重要な業務のひとつにコスト見積(Cost estimate )があります。今回は以前ご紹介した初期流動管理で述べた各フェーズごとに、その見積の概要について述べたいと思います。見積り対象は主に製品の製造原価における労務費(人件費)と、償却費(設備費)になります。


 実際のコスト見積りをする上での賃率や間接費率等については、専門の部署(原価企画等)によるコスト計算となるため、一般的には、生産技術は労務費(工数)見積り、償却費(設備、治具費等)見積りを主体とした見積りとなります。


 進め方としては、コスト見積りの目的を理解した上で、労務費、償却費のいずれにおいても、より正確に見積りすることが重要であり、そのためには、すべての要素を抜けなくダブリなく見積ることが必要になります。


 ここでは、見積りのタイミングを、初期流動管理で述べた各フェーズを基準として検討することにします。つまり、0次、1次、2次、3次という形で管理フェーズ(Phase)を分けると、0次は開発段階【初期流動指定】、1次は量産設計段階(量産試作)、2次は量産段階(流動開始)、3次は安定流動段階【初期流動解除後】といった流れとなります。


①0次;開発段階【初期流動指定段階】では、対象製品のコストの全貌を試算し、事業性等を確認することが目的となるため、製造コスト(投資額(償却費)、工数(労務費))の抑えをしっかり行っておくことが重要になります。


②1次;量産設計段階(量産試作)では、発行された量産図面、及び、生産計画(数量・日程)をもとに実際の生産ラインの構築(新設設備の仕様作成、ライン投資審査・設備発注・設備製作推進)活動を行うため、かなり正確な投資額(償却費)、工数(労務費)の見積もりが可能となり、製造コストの全貌把握を行うことができます。


③2次;量産段階(流動開始)では、量産後の初期流動解除目標(QCD目標;稼働率、工数、品質(不良率等)目標をいつまでに達成させるかという目標)を設定するため、ラインの初期流動における必要費用も含めた製造コストの把握ができることになります。(例えば、3カ月で、稼働率85%以上、検査不良率0.3%以下等)


④3次;安定流動段階【初期流動解除後】では、実際のラインの初期流動期間の立ち上げ費用の集計も可能であり、投資額(償却費)、工数(労務費)の実績とともに初期流動解除の審査項目の一つである当該事業の事業性確認も可能となります。


 これらの各フェーズにおける、コスト見積りのあり方、具体的管理要領等、効率よく推進させるノウハウを含めた支援・指導が生産技術コンサルティング対象となります。


(参考ブログ)




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