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管理図活用のポイント

更新日:2023年9月30日

 生産技術が対象とする量産ラインや各加工工程・設備の品質管理において必要となる管理ツールに管理図(Control Charts)があります。


 管理図は、品質管理に欠かせない「QC7つ道具」のひとつです。管理図を適切に用いれば、製造工程の安定度を把握し、品質の分析や異常検知などをスムーズに行うことができます。

 管理図 (かんりず、 英: control chart )は、生産現場において、 品質 や製造工程 が安定な状況で 管理 されている状態にあるかどうかを判定するために使用するグラフです 。 時間ごとの状態をグラフ上に配置し、従来までの傾向と異なるデータや管理限界線を逸脱したデータの有無から異常の発生を判定することができるものです。


 製造業にとって生産した製品の品質を維持・向上することは重要な課題です。ニーズに合ったレベルの品質が保たれた製品でなければ、顧客に納得してもらえず、クレームを招く可能性もあります。目標となる品質レベルと実際に生産された製品の品質レベルに差が生じていないか、生じているならどの程度の差なのかを調査・管理することは、業務改善や収益率アップに欠かせません。この品質管理に役立つツールのひとつが管理図です。


 管理図には、①計量値の管理図 と、②計数値の管理図 の2種類の管理図があります。以下順に説明します。


①計量値の管理図

 計量値管理図には連続して変化するデータを使用します。代表的には「X-R管理図」「X−s管理図」があります。


「X-R管理図」(下図はそのイメージです。)

 X-R管理図では、まず群内の平均値Xをグラフ化したX管理図と、各群内の範囲Rをグラフ化したR管理図を作成します。それらを上下に並べ、データの平均および分布範囲を同時に見られるようにしたのがX-R管理図です。X管理図では群間の変動を、R管理図ではバラつきの変動を確認できます。製品の寸法や重量、硬度や純度といった品質・工程を管理する場合に利用される管理図です。


「X−s管理図」

 X−s管理図は群内の平均値をグラフ化したX-R管理図と、群ごとのデータの標準偏差をグラフ化したs管理図を作成します。それらを上下に並べてデータの平均値と標準偏差を同時に見られるようにした管理図です。データの最大値・最小値まで使用するX-R管理図ではデータ数が多くなり範囲ないのバラつきがわかりにくくなるというデメリットがあります。X−s管理図ではバラつきをわかりやすくするため、範囲Rではなく標準偏差sを使います。


②計数値の管理図

 計数値管理図は離散的なデータである計数値を使った管理図です。主に「P管理図」「Pn管理図」「C管理図」「U管理図」などがありますが、ここでは、よく使用される「P管理図」「Pn管理図」について説明します。


「P管理図」

 P管理図は不良品の割合、つまり不適合率Pを用いた管理図で、不良率管理図とも呼ばれます。不良個数Pnを検査個数nで割った不良率Pを使って工程管理する管理図です。製品の良・不良のみで判定し、サンプル数は一定であることがP管理図の条件です。組立不良などを検出する際に使用されます。


「Pn管理図」

 Pn管理図は、P管理図と同じく製品の良・不良に分けて管理します。ただし、P管理図と異なり、不良率Pを計算せず試料(検査に使う材料)の不良品個数を基に品質管理を行います。溶接強度不良などを検出する際に使用されます。


 以上のような、管理図の活用上の注意ポイント等に関する指導・支援が生産技術コンサルティング対象となります。





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