ワイヤーカット(Wire Cut)は、「ワイヤー放電加工」とも呼ばれ、硬い金属でも導電性があれば切ることができます。ワイヤーカットは、以前、解説した放電加工の一種です。
放電加工とは電極と工作物の間に繰り返されるアーク放電によって工作物の一部を削り取りながら加工する技術を言います。放電加工には、ワイヤーカットの他に形彫り放電加工という技術もあります。
ワイヤーカットは、一般に純水で満たした加工槽の中で行われます。真鍮でできたワイヤーに電流を流すことによって、ワイヤーと工作物の間に爆発放電が繰り返し発生されます。この爆発放電を短時間に何回も発生することにより熱が発生しつづけ、その熱で工作物を溶かしながら切断します。ここでポイントとなるのは、ワイヤーは工作物に直接触れずに加工している、真鍮などの細くて柔らかい素材でできています。(0.005ミリ単位の高精度)
形彫り放電加工もそうですが、研削加工とちがい電極を「近づけて」工作物を溶かし、加工していくのが放電加工の特徴です。直接触れてはいないものの、発生する温度は高温で、7000度に達することもあります。高温によって素材が膨張したり変形したりするのを防ぐために、加工槽には冷却装置が備え付けられています。
ワイヤーカットでは、ワイヤー線の太さによって加工精度と加工時間が異なります。一般的に、ワイヤー線が太いほど加工時間は早くなりますが、精度は粗くなります。一方、ワイヤー線が細いほどコーナー部分のR径を高精度に出すことができますが、線が切れやすいので加工速度を遅くしなければいけません。
ワイヤーカットの加工精度は、同じ非接触加工であるレーザーカット加工よりもはるかに優れており、研削加工のような0.005mmレベルの精度を出すことができます。そのため、ピッチ精度が必要な順送金型部品の加工や、リングやギアの半割加工などに使用することができます。
ワイヤーカットで、より高精度な加工をするためのポイントとしては、加工回数を増やす方法、ワイヤー電極線に流す電流の強さを調整する方法、なるべく細いワイヤー電極線を使用する、精密な仕上がりとなるためにタングステンワイヤー線を使用する、水と油では絶縁抵抗値が異なるため表面性状を上げたい場合は油の方を使用する、ワイヤーを上下で保持するガイドをより高精度に保持することができるワイヤーガイドにする 等があげられます。
このワイヤーカットについては、応用可能な製品(の金型加工等)への適用検討等について、コンサルティング対象となります。
(参考ブログ)
放電加工、
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